歴史は不測の事態

アメリカで市民権を申請する移民に課される歴史のテストを、無作為抽出した一般のアメリカ人に受けさせたところ、なんと38%が不合格になりました。高校で必修科目になっているにもかかわらず、なぜアメリカ人はこんなに自国の歴史を知らないのでしょう。筆者によると、その原因は教科書にあるということです。

(1)[空所に指定文字で始まる適語を1語入れましょう。]

The problem is that they are (b  ). In their efforts to be both comprehensive and politically correct, the author committees lose any notion of an overarching  (na    )structure.
(問題は教科書がつまらないということだ。包括的かつ差別的でないよう努める中で、執筆委員会は何よりも大切な物語性の構造という観点を見失っている。)

つまり、粗雑に書かれているのではなく、あまりに気を使い過ぎて小説が持っているような、わくわくした物語性が無いということです。

そもそも歴史なんてそんなものではないの、と思っている人もいるでしょう。しかし、フランクリン・ルーズベルト大統領が第二次大戦中に大統領でなかったらという事実と反する状況を背景に小説を書いたPhilip Roth氏によると、

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震災後の日本への応援歌

3月11日に発生した東日本大震災はあまりの規模の大きさに日本のみならず世界を震撼させましたが、その悲惨さを伝える報道と共に、被災した日本の人々への同情、応援、賞賛もたくさん見受けられます。そのひとつに次のような記事がありました。

(1)[空所に指定文字で始まる適語を1語入れましょう。]

In recent years, research into post-traumatic stress (d  ) (P.T.S.D.) has led to a new term and a new area of research: “posttraumatic (g  )”(P.T.G.).
(近年、心的外傷後ストレス障害(P.T.S.D.)の研究により、「心的外傷後成長」(P.T.G.)という新たな言葉と新たな研究分野が生まれている。)

P.T.S.D.はこの頭文字のまま日本でもお馴染みです。まさに今回のような災害に見舞われた時、心に傷を負い、いろいろな症状を表す心の病気です。これに対し、新しい言葉P.T.G.はアメリカのある心理学教授が考案した言葉で、ひどいトラウマに出会うとその後かえって心的に成長する場合を指します。そしてP.T.G.の方がP.T.S.D.よりも一般的であるという研究者もいます。また、

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中国人の心を支えるもの

バックに子供たちが何かを唱える声が聞こえます。何をしているのか説明を聞いてみましょう。

Students are reciting the sayings of ( A ) at the school in Beijing. Until a few years ago, you would never have seen this in Communist China. But now the government is ( B ) these ancient Chinese traditions.
(生徒たちが北京の学校で孔子の教えを唱えている。数年前まで、こんな光景は共産主義国中国では決して見られなかっただろう。しかし今政府がこの古代中国の伝統を復活させている。)

そうです。我々日本人にも「子曰く…」で御馴染みの孔子です。二千年以上も昔に孔子が開いた儒教は、長い間中国王朝時代の人心を支え、まとめる役割を果たしてきましたが、毛沢東が共産主義政権を樹立した際、古い脆弱な中国の遺物として孔子の教えを撲滅しようとしました。それが、

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チュニジアから逃れる人々

アラブ諸国で連鎖的に起こっている民主化運動はチュニジアが発端でしたね。そのチュニジアで母国を捨てて、ヨーロッパに向かう人々が続出しています。

[空所A~Fを聴き取りましょう。]

In five days, five thousand Tunisians have ( A ) their country, ( B ) the population of this tiny Italian island. 
(5日間で5,000人のチュニジア人が母国を逃れ、この小さなイタリアの島の人口は2倍になっている。)

これらの人々は不安定な国からの避難というよりは、職を求めての母国脱出のようです。しかし受け入れ側のイタリアは無制限にこのような人々を受け入れるわけにはいきません。現にこの小さな島 Lampedusaでも

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人類最初のファッション

人類が衣服を着用するようになったのはいつ頃だと思いますか。最近、従来の考古学の調査結果よりはるかに古い時期に人類が衣服を着用し始めたとする研究が発表されました。(1)[空所に指定文字で始まる適語を1語入れましょう。]According to new research from the University of Florida, a study of the (e  ) of lice shows (m  ) (h  ) first began wearing clothing about 170,000 years ago.
(フロリダ大学の新しい調査によると、シラミの進化研究が、約17万年前に現生人類が初めて衣服を着始めたことを示している。)

何故シラミの進化を調べると人類が衣服を着始めた時期を特定できるのでしょう。それは頭ジラミという頭髪に寄生するシラミが衣シラミという衣類につくシラミに枝分かれした時期を見ればわかるのです。

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家畜伝染病の対処法?

昨今、口蹄疫や鳥インフルエンザなど家畜を襲う伝染病が広がり、我が国でも多くの畜産業者が被害に会い、泣く泣く多くの家畜を殺処分している報道がありました。そんな中、家畜伝染病に対処する画期的方法が研究されています。

[空所A~Eを聴き取りましょう。]

Here researchers in Edinburgh are inserting an ( A ) into this embryo. And here’s the result — a ( B ) chicken which doesn’t spread bird flu. 
(ここエジンバラでは研究者たちが人工遺伝子をこの胚に注入している。そして出来上がるのがこれ、鳥インフルエンザを広めない遺伝子組み換えニワトリだ。)

つまり、例えインフルエンザに感染しても他に移さない家畜を作ることによって蔓延を防ごうとしているわけです。( B ) に入る語句はその頭文字をとってGMとも言われ、遺伝子組み換えのことです。日本でもGMフードなどの名称でお馴染みです。今回は鳥インフルエンザに対抗できるニワトリを作っていますが、この方法は理論上どんな家畜のどんな伝染病にも適用できるそうです。

畜産業者にとっては朗報としか言いようがない気もしますが、遺伝子組み換えは拒絶反応を示す消費者がいることも確かです。ですから業者の態度も次のようにならざるを得ません。

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スパルタそれとも個の尊重?

子育ての方法はいつの時代も親を悩ませてきた永遠のテーマですが、最近ある中国系アメリカ人Amy Chuaさんが書いた子育て回想録が注目され議論を呼んでいます。

(1)[空所に指定文字で始まる適語を1語入れましょう。]

In a pithy, take-no-prisoners style, Chua lets readers in on the secrets to raising children who will (va  ) their parents’ decision to bring them into the world by getting themselves (ad  ) to Ivy League colleges and invited to piano recitals at Carnegie Hall.
(簡潔で断固としたスタイルで、Chuaさんは子育ての秘訣を読者に明かしている。アイビーリーグの大学に合格し、カーネギーホールでのピアノリサイタルに招待されるようにすることで子供を作るという親の決断の正しさを証明するような子育ての秘訣である。)

アイビー・リーグの大学に入学したり、カーネギーホールでリサイタルを開くような優秀な子供が育つなら是非その子育て法を知りたいものです。ところがウォールストリート・ジャーナル紙に本の抜粋がでたところ、大変な反発を招いてしまいました。ではどんな内容だったのでしょう。

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認知症への救世主

急激に高齢化社会となっている先進国にとって、アルツハイマーを含む認知症への対応は急務となっています。ところが、アルツハイマーは治療どころか診断さえ難しいのが現状です。この病気はアミロイドという物質が脳内に蓄積することが原因で起こると考えられていますが、特定の患者の脳にそれが実際に溜まっているかどうか調べることは今までできませんでした。そんな状況に一縷の望みができました。

[空所A~Eを聴き取りましょう。]

For the first time, a study shows that an imaging test can ( A ) what are called amyloid plaques in a person’s brain — an ( B ) protein always found in patients with Alzheimer’s disease.
(人間の脳内にあるアミロイドと呼ばれるプラーク(斑)を画像検査で検知できることを示す初めての研究結果が出ています。アミロイドはアルツハイマー病の患者に必ず見出される異常蛋白質です。) “認知症への救世主” の続きを読む

新たな日本の評価

中国が日本を抜いて世界第二位の経済大国になる今、現在の日本評価はどうなのでしょうか。次の文を見てください。

(1)[空所に指定文字で始まる適語を1語入れましょう。]
Is Japan the (m  ) (s  ) (s  ) in the world? Even the question is likely (all right, designed) to (prov  ) (r  ) and have you spluttering over your breakfast.
(日本は世界で最も成功している社会だろうか。その質問だけで嘲笑を引き起こし、朝食を食べながら吹き出してしまいそうである(もっとも、それを狙ったのだが)。)

最も成功した国かと聞かれれば、吹き出してしまうような愚かな質問に聞こえるとは随分ですが、実際ここ20年ばかりの日本は経済的にはそう言われても仕方のない状況です。名目GDPは1991年の水準のままで、1994年当時の日本経済は世界のGDPの17.9%を占めていましたが、その割合は今では約半分にまで落ち込んでいます。

しかし、これはあくまでも経済面から見た日本の姿で、ちょっと見方を変えるとまた違った日本の側面が見えてきます。 “新たな日本の評価” の続きを読む

「緊急事態」911!!

皆電話番号911はアメリカやカナダで緊急事態に助けを求める時の電話番号で、日本の110番と119番を合わせたような機能を果たします。普通は交通事故や火事、急病の時に使用されますが、最近奇妙な電話がカナダで増えているそうです。実際の通話記録なので少し聴き取りにくいですが、以下はその一例です。

[空所A~Eを聴き取りましょう。]

Dispatcher: “Emergency, do you need police, ambulance or fire?”
Caller: “I’m kinda lost. I seemed to have lost something of mine.”
Dispatcher: “What did you ( A )?”
Caller: “Uh, uh-huh, you might laugh but it is a pack of ( B ).”

(通信指令係:「救急です。警察、救急車、それとも火事ですか。」
通話者:「ちょっと困ってるんです。持ち物をなくしてしまったようなんです。」
通信指令係:「何をなくしたんですか。」
通話者:「あの、笑われるかもしれませんが、タバコです。」) “「緊急事態」911!!” の続きを読む