To be white or to be gold, that is the question.

皆さんこんにちは。今年に入って早一か月いがいかがお過ごしでしょうか。
今回は読解の仕方について少しお話します。

文章を読む際、個々のセンテンスの意味が分かるのはもちろんですがそれだけでは不十分です。センテンス同士がどのように関連して文章が展開していくか、その流れを把握することが正確な理解の一つのポイントになります。

今期Buildupコースで扱った題材の中に建築物の修復の話がありました。イギリスのロンドンに建築家Robert Adam設計のKenwood Houseという美術館がありますが、その中の図書室の内装は18世紀イギリス建築の傑作とされています。この内装の修復を巡っての話です。

この図書室のgilding(金箔)を修復していた人々がgildingの下にa layer of white lead paint(白ペイントの層)を発見しました。さらに、gildingとwhite lead paintの間に薄い埃の膜がありました。これは重大で、最初に作られた時はwhite lead paintでその後その上にgildingが加えられたことを示すものでした。

その知らせを受けた責任者のJeremy Ashbee氏はどこまで修復すべきかという大きな問題に直面しました。オリジナルと思われるところまで戻すのか、あるいはその後の修正でgildingが加えられた段階までにするのか悩んだのです。これは実はイギリスで長年論争になっている問題です。しかし、結局のところはIt comes down to taste.(好みの問題)です。

という話の流れで次のパラグラフが出てきます。読んで全体の流れが掴めるでしょうか。
Which is why one of the most important principles of restoration today is that of reversibility. When Ashbee finally made the decision to go with the plain white version of Adam’s library, there was never any question of stripping away the gilding. Instead, yet another layer of white paint was added to it, which could comfortably be removed by future historians, who may decide that the gilding did better justice to the room after all.

このパラグラフは大きく2つに分けられます。最初の一文(Which is why … reversibility.とそれ以外です。冒頭のWhichは関係代名詞でその前に述べられた内容(結局のところit comes down to taste)を指し、それ故今日の修復で最も重要な原則のひとつはreversibilityの原則なのだ、と言っています。はて、reversibilityとは何のことか?と思っていると、その後具体的に説明されています。

Ashbee氏は白ペイントを選んだのですが、gildingを取り除くことになるという疑問は出ませんでした。どうして?gildingを剥がすのではなくその上に白ペイントを塗ることにしたからです。そうすれば、後世の歴史家がそれは図書室にそぐわないと判断すれば簡単に取り外してgildingに戻せるからです。これが、reversibility「元に戻すことができること」ということだったのです。

このように英語では「抽象 → 具体」、最初に言いたいことを簡潔にまとめ、その後にその具体例を持ってくる書き方をよくします。文章を読んでいる時に、抽象的あるいは包括的なことが書かれ、え、どういうこと?と思ったらその直後に注意してみてください。問題が解決するかもしれません。

(意味)
「そのため、今日の修復で最も重要な原則のひとつは可逆性原則だ。アシュビー氏が結局アダムの図書室を全く白くする方法で行くことに決めた時、金箔をはぎ取ることになるという疑問は全く出なかった。剥がすのではなく、もう一層の白い塗料が加えられ、未来の歴史家たちが気楽に取り除けられるようになった。彼らは結局金箔がこの部屋をより良く本来の姿を表したと判断するかもしれないのだ。」(注 do justice to ~: ~の本来の良さを示す)

(Before)          (After)
beforeafter

それでは、またお目にかかりましょう。

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