「引っ越し業者」を英語で言うと

「引っ越し業者」と聞いてどんな英語が頭に浮かぶでしょうか。

moving company?

それも使いますが、もっと簡単にmoverとも言います。

Moving can be a pain, especially long-distance. Hiring a mover can be expensive too. We’ve heard from a lot of people who suspect they’re being overcharged.
(引っ越しは特に遠距離だと面倒な場合がある。また、引っ越し業者を雇えば高くつくこともある。過剰に請求されているのではないかと思うと多くの人から聞く。)

moverにはもう一つ「物事を動かす人、影響を与える人」という意味で使う場合があります。

The political leader considers himself a prime mover of history.
(その政治指導者は自分を歴史を動かす大物と思っている。)

また、mover and shaker「(人を動かしたり、物事の進展に影響力を持つ)実力者、有力者」という決まり文句もあります。

blue tarpって?

よくテレビの事件や事故の映像で、事故現場を隠したり、家屋の被害部分を覆ったりするためにブルーシートが使われているのを見かけることがありますが、あれを英語でなんと言うでしょう? そう、blue tarpです。

tarpはtarpaulinを短くしたもので「防水シート」のことです。

Genthner has not been able to return to his home since. The roof of his home remains covered in a blue tarp.
(Genthnerさんは(竜巻の被害にあって)以来自宅に帰ることができない。家の屋根はブルーシートで覆われたままだ。)

To be white or to be gold, that is the question.

皆さんこんにちは。今年に入って早一か月いがいかがお過ごしでしょうか。
今回は読解の仕方について少しお話します。

文章を読む際、個々のセンテンスの意味が分かるのはもちろんですがそれだけでは不十分です。センテンス同士がどのように関連して文章が展開していくか、その流れを把握することが正確な理解の一つのポイントになります。

今期Buildupコースで扱った題材の中に建築物の修復の話がありました。イギリスのロンドンに建築家Robert Adam設計のKenwood Houseという美術館がありますが、その中の図書室の内装は18世紀イギリス建築の傑作とされています。この内装の修復を巡っての話です。

この図書室のgilding(金箔)を修復していた人々がgildingの下にa layer of white lead paint(白ペイントの層)を発見しました。さらに、gildingとwhite lead paintの間に薄い埃の膜がありました。これは重大で、最初に作られた時はwhite lead paintでその後その上にgildingが加えられたことを示すものでした。

その知らせを受けた責任者のJeremy Ashbee氏はどこまで修復すべきかという大きな問題に直面しました。オリジナルと思われるところまで戻すのか、あるいはその後の修正でgildingが加えられた段階までにするのか悩んだのです。これは実はイギリスで長年論争になっている問題です。しかし、結局のところはIt comes down to taste.(好みの問題)です。

という話の流れで次のパラグラフが出てきます。読んで全体の流れが掴めるでしょうか。
Which is why one of the most important principles of restoration today is that of reversibility. When Ashbee finally made the decision to go with the plain white version of Adam’s library, there was never any question of stripping away the gilding. Instead, yet another layer of white paint was added to it, which could comfortably be removed by future historians, who may decide that the gilding did better justice to the room after all.

このパラグラフは大きく2つに分けられます。最初の一文(Which is why … reversibility.とそれ以外です。冒頭のWhichは関係代名詞でその前に述べられた内容(結局のところit comes down to taste)を指し、それ故今日の修復で最も重要な原則のひとつはreversibilityの原則なのだ、と言っています。はて、reversibilityとは何のことか?と思っていると、その後具体的に説明されています。

Ashbee氏は白ペイントを選んだのですが、gildingを取り除くことになるという疑問は出ませんでした。どうして?gildingを剥がすのではなくその上に白ペイントを塗ることにしたからです。そうすれば、後世の歴史家がそれは図書室にそぐわないと判断すれば簡単に取り外してgildingに戻せるからです。これが、reversibility「元に戻すことができること」ということだったのです。

このように英語では「抽象 → 具体」、最初に言いたいことを簡潔にまとめ、その後にその具体例を持ってくる書き方をよくします。文章を読んでいる時に、抽象的あるいは包括的なことが書かれ、え、どういうこと?と思ったらその直後に注意してみてください。問題が解決するかもしれません。

(意味)
「そのため、今日の修復で最も重要な原則のひとつは可逆性原則だ。アシュビー氏が結局アダムの図書室を全く白くする方法で行くことに決めた時、金箔をはぎ取ることになるという疑問は全く出なかった。剥がすのではなく、もう一層の白い塗料が加えられ、未来の歴史家たちが気楽に取り除けられるようになった。彼らは結局金箔がこの部屋をより良く本来の姿を表したと判断するかもしれないのだ。」(注 do justice to ~: ~の本来の良さを示す)

(Before)          (After)
beforeafter

それでは、またお目にかかりましょう。

嘘のような東京オリンピックの話からJFKまで

皆さん、こんにちは。最近かなり寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今月からCELの秋期コースが開講しています。今日はBuildupコースで扱った題材を2つご紹介しましょう。

まず、次の音声を聴いてください。
( ↓ クリック)

東京オリンピックMeet Kohei Jinno. The 79-year-old is facing eviction thanks to the Olympics. The complex that includes his tobacco shop and the apartment he shares with his wife is scheduled to be demolished to make way for a new state-of-the-art sports stadium that will serve as the centerpiece for the 2020 Games.
「甚野公平さんです。79歳の甚野さんはオリンピックで立ち退きに直面しています。甚野さんのタバコ屋と奥さんと住むアパートがある団地は、2020年五輪のメイン会場となる新しい最先端の競技場の建設のため取り壊される予定です。」

新しい国立競技場の建設予定地に住む人々が立ち退きを迫られている話です。冒頭のMeet somebodyは人を紹介したり、例の一人を導入する際に用いられる言い方です。ここでは東京オリンピックの決定で皆が喜んでいるわけではなく、その一例として甚野さんが紹介されています。make way for ~は「~のために道を譲る」です。

ところで、この話はここで終わりません。次の音声を聴いてください。

What’s worse, this is not the first time this has happened to Jinno. When Tokyo hosted the Summer Games back in 1964, his family was evicted then too. Their home flattened to make way for another sports stadium.
「さらにひどいことに、これは甚野さんに起こった初めてのことではないのです。遡ること1964年東京が夏季五輪を開催した時、甚野さんの家族も立ち退かされたのです。家は別の競技場の建設で取り壊されました。」

これに対し、当の甚野さんは次のように述べています。

“I wish they wouldn’t have the Olympics in Tokyo again. I can bear getting evicted if it’s just once in a century, but twice? It’s ridiculous.”
「2度目の東京オリンオリンピックはないほうがいいのですが。100年でたった1回なら立ち退きも我慢できますが、2度ですか?馬鹿げています。」

それはそうでしょう。ありえないような話です。

それでは、次の話題を聴いてください。

chronkite 1“From Dallas, Texas, the flash apparently official. President Kennedy died at 1 p.m. Central Standard Time, two o’clock Eastern Standard Time, some 38 minutes ago. Vice President Johnson has left the hospital …”
「テキサス州ダラスからですが、緊急ニュースは公式のようです。ケネディ大統領が約38分前、中部標準時間午後1時、東部標準時間2時に死亡しました。ジョンソン副大統領は病院を出 …」

今年はケネディ米大統領が暗殺されてから50年で日本でも大きく報道されました。この音声は長年CBS Evening Newsを担当した有名なニュースキャスターWalter Cronkiteが暗殺の速報を伝えた場面です。some 38 minutes agoの後少しポーズがありますが、この間Cronkiteは涙をこらえています。その後Vice Presidentという時に声が少し震えているのが分かります。臨場感のある音声です。

Buildupコースを含むCELのすべてのコースはいつでも無料で体験受講できます。興味のある方は覗いてみてください。

それでは、またお会いしましょう。

email皆で使えばan email

皆さんこんにちは。いつの間にか暑い夏も終わり、すっかり秋めいて過ごしやすい季節になってきました。それにしても今年は暑かったですね。

さて、今日は数えられる名詞、数えられない名詞について少しお話しましょう。

英語の名詞にはcountable(数えられる、可算)、uncountable(数えられない、不可算)という概念があります。数えられるとは文字通り1つ、2つと数えられるもので、例えばdog一匹なら不定冠詞aがついてa dog, 二匹ならtwo dogsと複数形にします。これに対し、数えられない名詞はaがついたり複数形になったりしない名詞、例えばinformation「情報」はこのままで使い、an informationとかinformationsになることはありません。

一般に量的あるいは抽象的な名詞は不可算名詞になる場合が多く見られます。money、 trafficは量、permission、progressは抽象的で不可算名詞です。しかし同じ単語でも可算、不可算の両方で用いられることもあります。timeは、plenty of time「多くの時間」なら不可算ですが、have a good time「楽しい時間を過ごす」なら可算名詞として使われています。

さて、ここまでは多くの方がご存知だと思いますが、一体この数えられる、数えられないというのはどうして決まるのでしょうか?

email_icon2例をひとつご紹介しましょう。

今から約20年前、1990年代の初め頃からemailが一般に使われ始めました。mailはもともと不可算ですから、emailも当時は不可算名詞扱いでした。以下は英語を母国語としない人のために編纂されたLongman Dictionary of Contemporary English (third edition, 1995)にあるemailの定義です。

[U]a system that allows people to send messages to each other by computer

emailは[U](uncountable、不可算)扱いです。しかも、この定義ではemailというシステム全体の説明しかされていません。

しかし、emailが急速に広まるにつれ、emailをmessage一通、二通の意味でan email、 emailsと可算名詞で使う人がどんどん増えてきました。そして現在Longmanの最新版(fifth edition, 2009)は次のように定義しています。

1 [U] a system that allows you to send and receive messages by computer
2 [U and C] a message that is sent from one person to another using the email system

2に新たな定義が加わり[C] (countable)と可算用法が明記してあります。

つまり、赤信号皆で渡れば…ではないですが、数えられる(あるいは数えられない)と思う人が多くなればその使い方が一般的になり、辞書はそれを後追いしているわけです。

可算、不可算の区別は絶対的な基準があるわけではなく、基本的に人がそう思うか思わないかに左右されますから、時代が変われば使い方も異なってくることは十分考えられます。今後もこうした例は出てくるでしょう。

それでは、またお会いしましょう。