皆さんこんにちは。いつの間にか暑い夏も終わり、すっかり秋めいて過ごしやすい季節になってきました。それにしても今年は暑かったですね。
さて、今日は数えられる名詞、数えられない名詞について少しお話しましょう。
英語の名詞にはcountable(数えられる、可算)、uncountable(数えられない、不可算)という概念があります。数えられるとは文字通り1つ、2つと数えられるもので、例えばdog一匹なら不定冠詞aがついてa dog, 二匹ならtwo dogsと複数形にします。これに対し、数えられない名詞はaがついたり複数形になったりしない名詞、例えばinformation「情報」はこのままで使い、an informationとかinformationsになることはありません。
一般に量的あるいは抽象的な名詞は不可算名詞になる場合が多く見られます。money、 trafficは量、permission、progressは抽象的で不可算名詞です。しかし同じ単語でも可算、不可算の両方で用いられることもあります。timeは、plenty of time「多くの時間」なら不可算ですが、have a good time「楽しい時間を過ごす」なら可算名詞として使われています。
さて、ここまでは多くの方がご存知だと思いますが、一体この数えられる、数えられないというのはどうして決まるのでしょうか?
今から約20年前、1990年代の初め頃からemailが一般に使われ始めました。mailはもともと不可算ですから、emailも当時は不可算名詞扱いでした。以下は英語を母国語としない人のために編纂されたLongman Dictionary of Contemporary English (third edition, 1995)にあるemailの定義です。
[U]a system that allows people to send messages to each other by computer
emailは[U](uncountable、不可算)扱いです。しかも、この定義ではemailというシステム全体の説明しかされていません。
しかし、emailが急速に広まるにつれ、emailをmessage一通、二通の意味でan email、 emailsと可算名詞で使う人がどんどん増えてきました。そして現在Longmanの最新版(fifth edition, 2009)は次のように定義しています。
1 [U] a system that allows you to send and receive messages by computer
2 [U and C] a message that is sent from one person to another using the email system
2に新たな定義が加わり[C] (countable)と可算用法が明記してあります。
つまり、赤信号皆で渡れば…ではないですが、数えられる(あるいは数えられない)と思う人が多くなればその使い方が一般的になり、辞書はそれを後追いしているわけです。
可算、不可算の区別は絶対的な基準があるわけではなく、基本的に人がそう思うか思わないかに左右されますから、時代が変われば使い方も異なってくることは十分考えられます。今後もこうした例は出てくるでしょう。
それでは、またお会いしましょう。